技術情報


  放牧酪農(マニュアル)

●放牧導入によるメリットと留意点

1.飼養コストの低減
放牧では、刈り取り、給餌の大部分を牛が自らが行うため、飼養コストの低減を図ることができます。
2.肥料の節減とふん尿処理の省力化
放牧時のふん尿は草地に還元されるので、施肥量の節減とふん尿処理の省力化が図れます。
3.労働時間の短縮
飼料調製・給与、ふん尿処理に要する労働時間が短縮されます。
4.濃厚飼料及び貯蔵飼料調製量の低減
短草利用した放牧草の栄養価は乾草やサイレージよりもかなり高いので、濃厚飼料も節減することができます。また、放牧期の粗飼料給与量を大幅に減らすことができます。
5.衛生費の節減及び分娩間隔の短縮
趾蹄や足腰が強くなりストレスも少ないので、牛が健康となり分娩前後の事故や障害も少なくなります。また、発情兆候が顕著となり発情を見逃すことが少なくなります。
6.留意点
*放牧地の確保
搾乳牛は朝夕の搾乳のために、牛舎に呼び戻すので、牛舎からそう遠くない所にまとまった放牧地があることが望まれます。
*放牧技術の習得
季節を通じて牧草を高栄養に保ち、草地を無駄無く利用するためには、基本的な放牧技術を習得する必要があります。
*草質、採食量と乳量に応じた補助飼料の給与
放牧牛が牧草をどれだけ採食し、栄養を草地からどれだけ摂取したかを正確に把握することが難しいのが放牧搾乳の最も大きな問題点です。乳量や乳質を安定的に維持するためには、乳検成績等を参考にしながら養分要求量に対し過不足なく補助飼料を給与する必要があります。