放牧畜産基準認証申請の受付について
認証申請は随時受付けております。
希望される方は、当協会の放牧認証担当までお気軽にお問い合わせ下さい。TEL:03-3251-6501
FAX:03-3251-6507
E-mail:info@souchi.lin.gr.jp
この認証制度を創設した目的は、放牧について全国的な統一基準を設定し、これに基づく放牧畜産を推進することにあります。
この認証制度は、まず家畜の飼養管理の基準である「放牧畜産基準」を設定して、この基準に基づいて放牧を実践する畜産経営を「放牧畜産実践牧場」として認証します。次に、この放牧畜産によって生産される家畜や畜産物を認証表示するために、それらの個別基準を設定しています。
放牧畜産実践牧場として認証された牧場のうち、酪農経営から生産される生乳を原材料とする牛乳と乳製品については、それぞれ「放牧酪農牛乳生産基準」、「放牧酪農乳製品生産基準」の認証を受けることにより、それぞれ「放牧酪農牛乳」、「放牧酪農チーズ」、「放牧酪農バター」、「放牧酪農ヨーグルト」、「放牧酪農アイスクリーム」及び「その他の放牧酪農乳製品」として表示できます。また、放牧畜産実践牧場において放牧期間中の乳用牛から生産される生乳を原材料とする場合は、それぞれ「放牧牛乳生産基準」、「放牧乳製品生産基準」の認証を受けることにより、「放牧牛乳」や「放牧チーズ」、「放牧バター」、「放牧ヨーグルト」、「放牧アイスクリーム」及び「その他の放牧乳製品」として表示できます。
肉用牛経営から生産される子牛についてですが、この子牛の育成段階については「放牧子牛生産基準」認証、さらに肥育段階については「放牧肥育牛生産基準」認証、最終的にと畜、保管、カットされて牛肉として消費者に販売されるまでの過程については「放牧牛肉生産基準」認証を受けることにより、それぞれ「放牧子牛」、「放牧肥育牛」、「放牧牛肉」の表示が可能となります。
なお、放牧実践牧場において、子牛の生産から放牧肥育を一貫して実施する場合は放牧畜産基準に基づき放牧肥育される部分は「放牧肥育牛」の表示が可能となり、「放牧肥育牛」をと畜し、他の牛肉と分別して処理されたものは「放牧牛肉」の表示が可能となります。
この認証制度は、放牧を全国的に推進するため、「放牧畜産基準」、「放牧酪農牛乳生産基準」、「放牧酪農乳製品生産基準」、「放牧牛乳生産基準」、「放牧乳製品生産基準」、「放牧子牛生産基準」、「放牧肥育牛生産基準」、「放牧牛肉生産基準」を(一社)日本草地畜産種子協会が定め、趣旨に賛同する生産者が認証を受けることにより制度に参加するという自主的なものです。
これらの基準のうち「放牧畜産基準」は、これから放牧畜産に取り組もうとする生産者も念頭に置いて、順守すべき最低限の基準として設定していますので、すでに先進的に取り組まれている方々には比較的緩やかな基準となっています。先進的な放牧畜産牧場には、地域の放牧畜産を先導していただくことを期待して、当該基準に上乗せする形で地域又は各牧場において独自の高い基準を設定していただきたいと考えています。
放牧畜産には次のような長所があります。
① 低コストによる畜産物の生産(飼養管理・飼料生産労働の軽減、家畜排せつ物処理労働の軽減、購入飼料費の削減、衛生費の削減、繁殖成績の向上等)
② 家畜の健康保持やアニマルウェルフェアの観点から優れている
③ 良質な畜産物の生産(機能性成分を期待できる)
④ 地域の土地資源の有効利用(耕作放棄地の解消、未利用・低利用地の有効利用、傾斜地・石礫地の活用)
⑤ 環境負荷の低減、化石燃料使用の低減等、SDGsに資する
⑥ 地域環境の保全、イノシシ等の獣害防止に有効
⑦ 草地景観、緑空間の提供
⑧ 地域の活性化、食育の場の提供、ほか
乳用牛の1頭当たり生産乳量が低下したり、肉用牛の1日当たり増体重が低下する場合があり、これが粗収益の低下につながる場合もありますが、一般的には粗収益の減少以上に農業経営費の減少が大きく、適切な放牧技術を実践することで所得は一層向上します。
なお、暑熱環境下での放牧は、牛にとってストレスになるとともに、吸血昆虫が媒介する病気は放牧の方がリスクが高く、有刺鉄線や突起物などで怪我をすることもあるので、放牧牛の健康観察や放牧地の環境整備が重要です。
これまで課題とされてきたのは、①牧柵の設置作業が大変、②ダニ熱(ピロプラズマ病)に感染しやすい、③放牧に必要な土地集積が困難、といったことでした。ただし、①と②はかなり克服できるようになりました。③についても、中山間地域では耕作放棄地が目立ち、また農業従事者の高齢化により、以前と比べると土地集積が行いやすいようになりました。従って、今日的な課題としては、①放牧に対する生産者及び畜産関係者の意識改革、②放牧に必要な土地集積の拡大施策、③地域の条件や畜種に合った適切な放牧技術の普及、④消費者への理解の醸成、等が課題であるといえます。
また一般的に、放牧酪農では乳脂肪等の成分低下や季節変動があるため、販売上不利になることがあります。同様に、放牧では霜降り肉を作ることがむずかしく、市場取引の際に高い評価が得られません。これらも、放牧畜産を展開する上で大きな課題であるといえます。これらの課題解決には消費者と流通業者の放牧畜産・畜産物製品に対する理解醸成が必要で、最近では、消費者等の理解が進み、直販等により有利販売に取り組んでいる事例が数多くあります。
令和元年度においては、酪農経営の場合、全国で2,345戸の酪農家(全体の15.6%)が経営内放牧をしていました。肉用牛経営の場合、全国で3,686戸の繁殖農家(全体の9.2%)が放牧をしていました。 全国の乳用牛と肉用牛の放牧頭数は、それぞれ飼養頭数全体の20.4%と17.4%でした。また、公共牧場等では、全国の688牧場において、13万2,000頭が夏期放牧されていました。その放牧面積は8.1万ヘクタール、利用農家数は8,970戸でした。
この認証制度でいう放牧とは、牧草地や野草地等の草地へ家畜を放牧し、当該放牧により十分な粗飼料を摂取し、かつ草地の再生を持続的に維持する畜産の生産方式です。運動を主目的とした運動場(パドック)等での放し飼い等、上述の定義に該当しないものは、この認証制度の放牧には該当しません。
必須項目は、全て基準を達成していただくことが条件です。一方、努力項目については、その経営なりの取組み努力が認められるかどうかが判断の基準となりますので、単純に項目の何割を達成しているという判断はしません。従って、客観的な判断基準は示せませんが、個別に検討することとしています。
この基準は、牛を飼養する畜産経営を適用対象としています。牛は草食動物ですので、放牧を取り入れて飼養管理することができ、地域の土地資源を活用した「土-草-家畜が結びついた資源循環型畜産」を目指すのに最も適しているからです。
牛を飼養する畜産経営には、酪農経営と肉用牛経営がありますが、この基準では肉用牛経営については主として繁殖経営を対象としています。
その理由は、現状では肥育経営において放牧が行われるケースは極めて稀なためですが、放牧畜産基準に基づき放牧肥育も行っている繁殖・肥育一貫経営については対象としています。
放牧畜産基準認証制度の目指すものは、放牧の普及・拡大による高付加価値な放牧畜産物の生産拡大と消費者への啓蒙を通した放牧畜産物の消費拡大であり、そのためには放牧畜産物を生産する経営が対象となり、個人経営体に限定するものではありません。
従って、放牧畜産基準を順守して放牧畜産物を生産する経営体であれば、公共牧場や牧野組合、教育機関における付属牧場等も適用対象になります。
肉用牛の繁殖から肥育まで一貫した経営を行っている場合でも、放牧畜産基準で定めている部分(繁殖:子牛生産)について認証要件を満たせば放牧畜産実践牧場の対象となります。肥育部門に関しては、放牧畜産基準ではなく放牧肥育牛生産基準で認証されることになります。
なお、肉用牛繁殖・肥育一貫経営で繁殖部門、肥育部門とも放牧畜産基準を順守して飼養管理している経営は、放牧畜産実践牧場の認証が可能となるとともに放牧子牛及び放牧肥育牛生産基準の認証も可能となります。
家畜は、放牧地の気象条件、地形条件に馴致し、放牧への適応能力が高いことが望まれます。このような家畜を得るためには、本基準で示すように「自らの経営内で本基準により飼養した家畜から生産、育成」することが最も適当です。このことが、この規定を設ける直接的な理由です。
新規参入により放牧畜産を志向する者は言うまでもなく、新たに放牧畜産を開始するに当たっては、自家保留・自家更新だけでは家畜(放牧経験牛、放牧に慣れている牛)の確保が困難で、放牧畜産の取り組みがなかなか拡大しないという問題があるからです。この場合、消費者等に家畜の来歴情報を開示することを条件として、外部導入を認めることにしています。
4. 放牧管理放牧が行われる草地の植生は、牧草地、シバ型草地、野草地がありますが、これらの牧養力は大きく異なります。
そこで、これらの植生ごとに、
① 放牧により十分な粗飼料摂取を可能とし、かつ
② 草資源の再生力を持続的に維持できるということを条件として、「家畜1頭当たりの放牧地面積、放牧期間、1日の放牧時間」を、地域別に過去の研究成果を基に算定し、その上で全国共通に順守できる最小限の基準値として設定しました。
地域 | 地帯区分 | 生産目標 (生重t/ha) |
牧養力の目標 (CD/ha) |
放牧日数 (日) |
1頭当たり 必要面積の試算 (a/頭) |
地帯・植生別の 1頭当たり 必要面積の目安 (a/頭) |
||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
平均 | ||||||||
昼夜放牧 | 夜間 あるいは 昼間放牧 |
|||||||
北海道 | 道北・道東 | 40-45 | 480 ~ 540 | 130 | 24 ~ 27 | 26 | 寒地型牧草地 | |
道央・道南 | 45-50 | 540 ~ 600 | 150 | 25 ~ 28 | 26 | 25a以上 | (15a以上) | |
東北 | 高~中標高地帯 | 30-45 | 360 ~ 540 | 160 | 30 ~ 44 | 37 | ||
低標高~夏期高温地帯 | 40-55 | 480 ~ 660 | 180 | 38 ~ 27 | 32 | |||
関東・中部 | 高標高寒冷~高標高地帯 | 30-45 | 360 ~ 540 | 150 | 28 ~ 42 | 37 | ||
中標高地帯 | 40-50 | 480 ~ 600 | 170 | 28 ~ 35 | 32 | |||
低標高~沿岸温暖地帯 | 45-55 | 540 ~ 660 | 180 | 27 ~ 33 | 30 | |||
近畿・中国 | 中国山地・中山間地帯 | 40-60 | 480 ~ 720 | 180 | 25 ~ 38 | 31 | ||
瀬戸内・日本海沿岸地帯 | 40-60 | 480 ~ 720 | 180 | 25 ~ 38 | 31 | 寒地型牧草地 | ||
近畿内陸部地帯 | 45-65 | 540 ~ 780 | 180 | 23 ~ 33 | 28 | 30a以上 | (18a以上) | |
近畿南部地帯 | 40-60 | 480 ~ 720 | 180 | 25 ~ 38 | 31 | |||
四国 | 瀬戸内気候地帯 | 45-50 | 540 ~ 600 | 180 | 30 ~ 33 | 32 | ||
太平洋(南海)気候地帯 | 45-50 | 540 ~ 600 | 180 | 30 ~ 33 | 32 | |||
山岳気候地帯 | 40-50 | 480 ~ 600 | 180 | 30 ~ 38 | 34 | |||
九州 | 高標高地帯 | 40-50 | 480 ~ 600 | 180 | 30 ~ 38 | 34 | ||
中標高地帯 | 40-50 | 480 ~ 600 | 180 | 30 ~ 38 | 34 | |||
低標高地帯 | 50-60 | 600 ~ 720 | 180 | 25 ~ 30 | 28 | 暖地型牧草地 | ||
低標高沿岸・島しょ地帯 | 60 | 720 ~ 720 | 180 | 25 ~ 25 | 25 | 25a以上 | ||
沖縄 | 沖縄本島地帯 | 40-60 | 480 ~ 720 | 245 | 34 ~ 51 | 43 | 暖地型牧草地 | |
先島諸島地帯 | 80-90 | 2,200 ~ 2,600 | 365 | 14 ~ 16 | 15 | 35a以上 | ||
15a以上 |
植生型 | 地域 | 利用期間別推定牧養力(CD/ha) | 放牧日数 (日) |
1頭当たり必要面積の試算(平均 a/頭) | ||||
5 ~ 10年 | 20年以上 | 5 ~ 10年 | 20年以上 | |||||
平均 | 平均 | |||||||
ススキ | 東北・関東 | 50 ~ 80 | 20 ~ 40 | 100 | 125 ~ 200 | 163 | 250 ~ 500 | 375 |
中国・四国 | 150 ~ 200 | 50 ~ 100 | 100 | 50 ~ 67 | 58 | 100 ~ 200 | 150 | |
九州 | 150 ~ 200 | 50 ~ 100 | 120 | 60 ~ 67 | 64 | 120 ~ 240 | 180 | |
アズマネザサ | 関東 | 200 | 70 ~ 120 | 170 | 85 | 142 ~ 243 | 192 | |
ネザサ | 中国 | 200 | 100 ~ 150 | 180 | 90 | 120 ~ 180 | 150 | |
九州 | 200 | 100 ~ 150 | 180 | 90 | 120 ~ 180 | 150 |
地域 | 推定牧養力 (CD/ha) |
放牧日数 (日) |
1頭当たり必要面積の試算(a/頭) | |
---|---|---|---|---|
平均 | ||||
北海道南部 | 50 ~ 120 | 150 | 125 ~ 300 | 213 |
東北・本州中部の高原 | 50 ~ 120 | 150 | 125 ~ 300 | 213 |
本州中部 (良く管理されている) |
180 ~ 250 | 150 | 83 ~ 60 | 72 |
中国地方(無施肥) | 283 | 180 | 64 | |
四国地方(施肥管理) | 300 ~ 600 | 180 | 30 ~ 60 | 45 |
植生 | 草種 | 地域 | 前歴 | 生産量 (kg DM/10a) |
牧養力 (CD/ha) |
放牧日数 (日) |
1頭当たり必要面積の試算(a/頭) | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
平均 | ||||||||
野草地 | ススキ | 中部 | 水田 | 269 | 120 | 45 | ||
オオブタクサ | 中部 | 畑 | 163 | 120 | 74 | |||
ヨシ | 中部 | 水田 | 271 | 120 | 44 | |||
ヨシ・オオブタクサ | 中部 | 水田・畑 | 264 | 100 | 38 | |||
ススキ型草地 | 中国 | 畑+里山 | 243 | 180 | 74 | |||
ネザサ型草地 | 中国 | 水田+里山 | 190 | 180 | 95 | |||
シバ型草地 | 中国 | 水田+里山 | 190 | 180 | 95 | |||
牧草地 | 寒地型牧草 | 中部 | 水田 | 679 ~ 727 | 180 | 25 ~ 27 | 26 | |
寒地型牧草 | 中部 | 畑 | 669 ~ 683 | 180 | 26 ~ 27 | 27 | ||
寒地型牧草 | 近畿 | 水田 | 604 ~ 878 | 180 | 21 ~ 30 | 25 | ||
寒地型牧草 | 近畿 | 水田 | 455 ~ 693 | 180 | 26 ~ 40 | 33 | ||
バヒアグラス | 中国 | 畑 | 902 | 743 | 180 | 24 | 15 | |
センチピードグラス ジャイアントスターグラス |
中国 沖縄 |
畑 畑 |
818 1,600 ~ 1,800 |
674 2,200 ~ 2,600 |
180 365 |
27 14 ~ 16 |
ここで定義した放牧地面積は、年間(放牧期)の牧草放牧地の草生産量から求めた1頭当たりの平均値です。草量の多い時期だけを見れば、確かに15a以下の面積で放牧が可能だと思いますが、反対に草量の減る夏季や秋季では、15aでは不足することになります。放牧は一過性の取り組みではなく、長期にわたる持続的取り組みと考えますので、認証の基準としては平均値でとらえるべきものと考えます。
また、時期別に下限面積を設定することは、地域性も考慮することが必要となり、全国統一的な認証が困難になるという問題もあります。
本基準では、全国一律に放牧期間を設定していません。草地の状態は、地域の自然条件やその年の天候によって質、量ともに変化し、一律の放牧期間を設定することができないためです。また、放牧の開始時期及び終了時期は、その年の気温、降水量等の自然条件によって異なるとともに、実際の放牧では草地状態の変化に応じて放牧頭数や放牧時間を調節することがあります。従って、本基準では、ある日を境として放牧期間とそうでない期間を区別するよりも、むしろ放牧が可能な期間については全期間放牧するように規定しています。
なお本基準の趣旨は、持続的な放牧を推進することです。牧草が不足する時期に、無理に放牧することは推奨していません。草の再生が持続できないような過放牧は、草地にも家畜にもかえってマイナスになるためです。
成牛換算1頭当たり放牧地面積=経営内の牧草地換算放牧地面積÷経営内の成牛換算頭数です。
成牛換算1頭当たり放牧地面積の計算は、まず経営内の全ての飼養家畜を下表の月齢区分ごとに分けて、それぞれの頭数に下記の(1)の成牛換算係数を乗じて得られた換算頭数を合算して、経営内の成牛換算した総飼養頭数を求めます。次に、経営内における放牧地が全て「牧草地」であれば、その放牧地面積を、先の成牛換算した飼養頭数で除して、1頭当たり放牧地面積を算出し、シバ型草地や野草地の場合は、その放牧地面積に牧草地換算係数を乗じ、牧草地換算放牧地面積を求め、これを成牛換算した飼養頭数で除して1頭当たり放牧地面積を算出します。なお、24か月齢以上の肉用繁殖経産牛の場合、成牛換算頭数を求める時は、実際の頭数に(2)の肉用繁殖成雌牛の放牧係数を乗じて求めます。具体的な計算例は問2-13の計算例を参照して下さい。
(1)成牛換算係数
成牛換算値を求めるのに必要な成牛換算係数は、成牛の平均的な採食量(年間のTDN必要量)を基準(1.0)として、成牛以外の未経産牛、育成牛等の採食量を比率として表した数値で、以下のとおりです。
乳用牛 | |
---|---|
成牛(24か月齢以上)経産牛: | 1.0 頭 |
成牛(24か月齢以上)未経産牛: | 0.5 頭 |
育成牛(6か月齢以上~24か月齢未満): | 0.5 頭 |
肉用牛 | |
成牛(24か月齢以上)繁殖雌牛 | 1.0 頭 |
育成 繁殖用雌牛(8か月齢以上~24か月齢未満): | 1.0 頭 |
哺育育成 雌牛(0か月齢以上~8か月齢未満): | 0.5 頭 |
哺育育成 去勢牛(0か月齢以上~8か月齢未満): | 0.5 頭 |
肉用牛 | |
---|---|
成牛(24か月齢以上)繁殖雌牛 | 0.6 頭 |
牛と山羊を同じ放牧地に放牧していると、当該放牧地には牛と山羊の放牧圧がかかることになりますので、成牛1頭当たり放牧地面積の算定に当たっては、山羊の放牧圧を考慮する必要があります。つまり、成牛1頭当たり放牧地面積の計算は、経営内の放牧地面積を牛の成牛換算頭数と山羊の成牛換算頭数を合算した成牛換算頭数で除した成牛換算1頭当たりの放牧地面積が放牧畜産基準で定める成牛換算1頭当たり面積を上回る必要があります。
なお、羊や馬等の場合は個別に事務局へ相談して下さい。
家畜改良センター技術マニュアル6「山羊の飼養管理マニュアル」から
※体重80kgで泌乳量が4kg/日の場合の必要TDNは維持0.788kg、泌乳1.124kgより
放牧中の搾乳山羊の1日当たり必要養分量を
0.788×1.2(放牧割増)+1.124=2.070kg ①
とします。
また乳用搾乳牛日当たり必要養分量は前掲表中の乳用成牛の年間TDN必要量5,131kgから
5,131kg/365日=14.06kg/日②とすると
成雌山羊の成牛換算係数=①/②=0.147≒0.15頭
育成山羊の必要養分量は成雌山羊=0.15×1/2=0.075頭
とします。
放牧係数は肉用牛の成雌牛のみが0.6となっています。これは、我が国の放牧を取り入れた一年一産を前提とする肉用牛繁殖経営においては、一般的に成雌牛が放牧される期間は、分娩(30日前)、種付け(分娩後発情3回目まで約85日間)、妊娠確認(受精後約30日)の各期間を除いた220日(365日-(30日+85日+30日))となっています。つまり一年のうちの6割(220日/365日=0.603≒0.6)が放牧される期間となります。要は、肉用牛成雌牛の年間飼養頭数の60%が実際に放牧される頭数となるため、実際の飼養管理の実態に合わせた頭数という考え方を取り入れています。
肉用牛の他の月齢、酪農においては、肉用繁殖雌牛のように、放牧しないことが一般的という期間はないことから、放牧係数は1としています。また、分娩時に舎飼いを必要としない周年親子放牧の場合も放牧係数は1となります。
なお、舎飼期間の肉用繁殖牛の管理は、放牧畜産基準の「5,舎飼管理」を順守する必要があります。
草地 | 牧草地 | シバ型草地 | 野草地 |
---|---|---|---|
成牛換算1頭当たり 放牧地面積 |
25 a | 45 a | 90 a |
牧草地換算率 | 1.0 | 0.6 | 0.3 |
1. 経営内の飼養頭数 | 飼養頭数 | 成牛換算係数 | 換算頭数 | |
---|---|---|---|---|
経産牛 | A 頭 | * 1.0 | = | A |
未経産牛(24か月齢以上) | B 頭 | * 0.5 | = | B x 0.5 |
育成牛(6~24か月齢) | C 頭 | * 0.5 | = | C x 0.5 |
成牛換算した総飼養頭数 | G 頭(= A + B x 0.5 + C x 0.5) |
2. 放牧地 | 草地面積 | 牧草地換算率 | 換算面積 | |
---|---|---|---|---|
牧草地 | D ha | *1.0 | = | D |
シバ型草地 | E ha | *0.6 | = | E x 0.6 |
野草地 | F ha | *0.3 | = | F x 0.3 |
牧草地換算した放牧地総面積 | H ha(= D + E x 0.6 + F x 0.3) |
1. 経営内の飼養頭数 | 飼養頭数 | 成牛換算係数 | 放牧係数 | 換算頭数 | |
---|---|---|---|---|---|
成雌牛(24か月齢以上) | A 頭 | *1.0 | *0.6 | = | A x 0.6 |
育成・雌牛(8~24か月齢) | B 頭 | *1.0 | = | B | |
哺育・育成雌牛(0~8か月齢) | C 頭 | *0.5 | = | C x 0.5 | |
哺育・育成雌牛(0~8か月齢) | D 頭 | *0.5 | = | D x 0.5 | |
成牛換算した総飼養頭数 | H頭(=A x 0.6+B +C x 0.5+D x 0.5) |
2. 放牧地 | 草地面積(ha) | 牧草地換算率 | 換算面積 | |
---|---|---|---|---|
牧草地 | E | *1.0 | = | E x 1.0 |
シバ型草地 | F | *0.6 | = | F x 0.6 |
野草地 | G | *0.3 | = | G x 0.3 |
牧草地換算した放牧地総面積 Iha(= E+ F x 0.6+ G x 0.3) |
1. 経営内の乳牛飼養頭数 | 飼養頭数 | 成牛換算係数 | 換算頭数 | |
---|---|---|---|---|
経産牛 | A 頭 | * 1.0 | = | A |
未経産牛(24か月齢以上) | B 頭 | * 0.5 | = | B x 0.5 |
育成牛(6~24か月齢) | C 頭 | * 0.5 | = | C x 0.5 |
成牛換算した乳牛飼養頭数 F 頭(= A + B x 0.5 + C x 0.5) |
2. 経営内の山羊飼養頭数 | 飼養頭数 | 成牛換算係数 | 換算頭数 | |
---|---|---|---|---|
成山羊(6か月齢以上) | D 頭 | * 0.15 | = | Dx0.15 |
育成山羊(0~6か月齢) | E 頭 | * 0.075 | = | Ex 0.075 |
成牛換算した山羊飼養頭数 G 頭(= D x 0.15 + E x 0.075) | ||||
3.成牛換算した総飼養頭数 H 頭(=F+G) |
成牛換算1頭当たり放牧地面積は、個別牧場内で飼養されている全ての家畜頭数と放牧地面積から計算することを基本とします。公共牧場等への預託牛がある場合、それらは経営内の飼養頭数、放牧頭数及び放牧地面積として含めません。
ただし、共有地等で共同放牧している場合、放牧する家畜とその利用農家は限定されていますので、経営内の飼養頭数、放牧頭数及びその放牧頭数割合に応じた放牧地面積を、自己経営内に含めて計算することが可能であり、実態に応じて選択することとなります。
この場合、1頭当たり放牧地面積の計算方法は、共同放牧地の放牧総頭数に占める各利用農家の放牧頭数シェアに応じて、各利用農家の持分となる放牧地面積を算出します。この放牧頭数と算出した放牧地面積は、各利用農家が個別経営内に算入できるものとします。
共同放牧地の総放牧頭数に占める 個別農家の放牧頭数シェア |
× | 共同放牧地の総放牧地面積 | = | 共同放牧地における 当該農家の放牧地面積 |
|
---|---|---|---|---|---|
農家A | 10/40頭=0.25 | × | 50ha | = | 12.5ha |
農家B | 2/40頭=0.05 | × | 50ha | = | 2.5ha |
現在、放牧に取り組んでいる酪農経営や肉用牛繁殖経営の一部には、一時的にこれらを全て順守できない場合があるため、ここでは努力規定に止めてありますが、畜産経営者に対して、これらを順守するように啓発するとともに、将来的には義務規定への変更を検討することとします。
放牧期において、放牧草不足時にはサイレージ、乾草等家畜の必要栄養量を補うための補助飼料を給与できます。また、生理上不可欠と認められる鉱塩等のミネラルが給与できます。
販売されている飼料には、飼料安全法及び関係法令により、一般表示事項として(1)飼料の名称、(2)飼料の種類、(3)製造(輸入)年月、(4)製造(輸入)業者の氏名及び住所、(5)製造事業場の名称及び所在地が表示されています。また、対象家畜等、正味重量、成分量、原材料名等、注意事項、さらに規格適合表示飼料の原材料には「規格適合○○○」と表示票に表示されています。
なお、飼料安全法及び関係法令や通知については、(独)農林水産消費安全技術センターのホームページ上に公表されていますので、最新情報を逐次確認することができます。
本基準では、畜舎内の家畜1頭当たりの必要面積は特に定めていませんが、家畜の健康保持やアニマルウェルフェアの観点から、一定の目安は必要と考えます。
成畜についてみると、例えば有機畜産物JAS規格(畜舎床面積)では3.6㎡~5.0㎡、草地開発整備事業計画設計基準(牛房面積)では4.50~5.50㎡という規定があります。従って、放牧畜産基準の趣旨も踏まえるならば、成牛1頭当たりの畜舎床面積はおおむね5.0㎡以上を目安とします。
家畜の種類 | 家畜1頭当たりの最低面積 |
---|---|
肉を生産することを目的として飼養する牛 (体重が340 kgを超えるもの) |
5.0 ㎡ |
繁殖の用に供することを目的として飼養する雌牛(成畜) | 4.0 ㎡ |
繁殖の用に供することを目的として飼養する雌牛(成畜) | 3.6 ㎡ |
月齢 | 体重(kg) | 1頭当たりの牛房面積(㎡) | 1頭当たりの牛舎面積(㎡) |
---|---|---|---|
0~2 | 45~86 | ハッチ 2.98(120×240cm) | - |
ペン 2.60(120×210cm) | 4.0~6.0 | ||
集団哺育 2.0~3.6 | 2.0~6.0 | ||
3~5 | 86~158 | 3.65 | 3.65~6.50 |
6~8 | 158~225 | 3.80 | 3.80~7.00 |
9~12 | 225~293 | 3.95 | 3.95~8.00 |
13~15 | 293~360 | 4.50 | 4.50~9.50 |
16~24 | 360~540 | 5.50 | 5.50~9.50 |
本基準では、舎飼時におけるパドック等での運動、日光浴について、その必要時間等を特に定めていませんが、家畜の健康状態や気象条件が許す限り、なるべく屋外で過ごさせることが望まれます。 また、パドックの広さについても、家畜1頭当たりの必要面積は特に定めていませんが、家畜の健康保持やアニマルウェルフェアの観点から、やはり一定の目安が必要と考えます。畜舎床面積と同様に、有機畜産物JAS規格を参考として、成牛1頭当たりのパドック面積は3.6~5.0㎡以上を目安とします。
飼料添加物名 | 単位 |
---|---|
肉を生産することを目的として飼養する牛 (体重が340 kgを超えるもの) |
5.0 ㎡ |
乳を生産することを目的として飼養する牛(成畜) | 4.0 ㎡ |
繁殖の用に供することを目的として飼養する雌牛(成畜) | 3.6 ㎡ |
「積極的に運動・日光浴をできるようにしなければならない」とは、運動や日光浴が可能となるようなパドックを整備しなければならないという趣旨です。運動や日光浴が可能となる施設を整備した場合でも、家畜の健康を損なうあるいは周辺環境を悪化させるような条件での運動、日光浴を強制しているわけではなく、家畜の健康状態や気象条件が許す限り、運動や日光浴をさせる必要があるという趣旨です。
パドックとすると運動場と限定的に理解されますが、ここでは特定の運動場ばかりではなく、広く運動や日光浴が可能な場所(例えば、フリーバーン、フリーストール等)を含む、という意味で「等」としています。
舎飼時においても粗飼料を十分に給与することは、牛が放牧したときと同じように健康であるために必要です。また飼料自給率の向上や土地資源の有効利用という観点からも、粗飼料は経営内、地域内で生産されたものを給与することが望ましいと考えます。
飼料安全法は、その目的を「飼料及び飼料添加物の製造等に関する規制、飼料の公定規格の設定及びこれによる検定等を行うことにより、飼料の安全性の確保及び品質の改善を図り、もつて公共の安全の確保と畜産物等の生産の安定に寄与すること」としています。このうち、飼料・飼料原材料の成分規格は「飼料及び飼料添加物の成分規格等に関する省令」の別表にあります。経営外から導入する配合飼料だけでなく、自家配合飼料に用いる単味飼料についても、この成分規格に合致していなければなりません。
飼料安全法により、農林水産大臣が指定した飼料添加物の具体的な品目は、(独)農林水産消費安全技術センターのホームページ上に掲載されています。
なお、抗菌性物質(抗菌性物質及び合成抗菌剤)の使用については、特に注意が必要です。抗菌性物質は、一定のものが飼料添加物として指定されていますが、添加した飼料を給与できる家畜の種類や生育ステージ、飼料への添加量等が細かく定められています。これらに従わずに使用すると、法律による罰則の対象となります。
区分 | 飼料添加物名 | 単位 | ほ乳期用 | 幼齢期用 | 肥育期用 |
---|---|---|---|---|---|
第1欄 | サリノマイシンナトリウム | g力価 | × | 15 | 15 |
モネンシンナトリウム | g力価 | 30 | 30 | 30 | |
ラサロシドナトリウム | g力価 | × | × | 33 | |
第3欄 | 亜鉛バシトラシン | 万単位 | 42~420 | 16.8~168 | × |
農林水産省令で定められている用途 | 類別 | 指定されている飼料添加物の種類 |
---|---|---|
飼料の品質の低下の防止(17種) | 抗酸化剤 (3種) |
エトキシキン、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール |
防かび剤 (☆)(3種) |
プロピオン酸、プロピオン酸カルシウム、プロピオン酸ナトリウム | |
粘結剤(5種) | アルギン酸ナトリウム、カゼインナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、プロピレングリコール、ポリアクリル酸ナトリウム | |
乳化剤(5種) | グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル | |
調整剤(1種) | ギ酸 | |
飼料の栄養成分その他の有効成分の補給(93種) | アミノ酸 (15種) |
アミノ酢酸、DL-アラニン、L-アルギニン、塩酸L-リジン、L-カルニチン、グアニジノ酢酸、L-グルタミン酸ナトリウム、タウリン、2-デアミノ-2-ヒドロキシメチオニン、DL-トリプトファン、L-トリプトファン、L-トレオニン、L-バリン、DL-メチオニン、硫酸L-リジン |
ビタミン (34種) |
L-アスコルビン酸、L-アスコルビン酸カルシウム、L-アスコルビン酸ナトリウム、L-アスコルビン酸-2-リン酸エステルナトリウムカルシウム、L-アスコルビン酸-2-リン酸エステルマグネシウム、アセトメナフトン、イノシトール、塩酸ジベンゾイルチアミン、エルゴカルシフェロール、塩化コリン、塩酸チアミン、塩酸ピリドキシン、β-カロチン、コレカルシフェロール、酢酸dl-α-トコフェロール、シアノコバラミン、硝酸チアミン、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、パラアミノ安息香酸、D-パントテン酸カルシウム、DL-パントテン酸カルシウム、d-ビオチン、ビタミンA粉末、ビタミンA油、ビタミンD粉末、ビタミンD3油、ビタミンE粉末、25-ヒドロキシコレカルシフェロール、メナジオン亜硫酸水素ジメチルピリミジノール、メナジオン亜硫酸水素ナトリウム、葉酸、リボフラビン、リボフラビン酪酸エステル | |
ミネラル (41種) |
塩化カリウム、クエン酸鉄、グルコン酸カルシウム、コハク酸クエン酸鉄ナトリウム、酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、炭酸亜鉛、炭酸コバルト、炭酸水素ナトリウム、炭酸マグネシウム、炭酸マンガン、2-デアミノ-2-ヒドロキシメチオニン亜鉛、2-デアミノ-2-ヒドロキシメチオニン銅、2-デアミノ-2-ヒドロキシメチオニンマンガン、DL-トレオニン鉄、乳酸カルシウム、フマル酸第一鉄、ペプチド亜鉛、ペプチド鉄、ペプチド銅、ペプチドマンガン、ヨウ化カリウム、ヨウ素酸カリウム、ヨウ素酸カルシウム、硫酸亜鉛(乾燥)、硫酸亜鉛(結晶)、硫酸亜鉛メチオニン、硫酸ナトリウム(乾燥)、硫酸マグネシウム(乾燥)、硫酸マグネシウム(結晶)、硫酸コバルト(乾燥)、硫酸コバルト(結晶)、硫酸鉄(乾燥)、硫酸銅(乾燥)、硫酸銅(結晶)、硫酸マンガン、リン酸一水素カリウム(乾燥)、リン酸一水素ナトリウム(乾燥)、リン酸二水素カリウム(乾燥)、リン酸二水素ナトリウム(乾燥)、リン酸二水素ナトリウム(結晶) | |
色素 (3種) |
アスタキサンチン、β-アポ-8’-カロチン酸エチルエステル、カンタキサンチン | |
飼料が含有している栄養成分の有効な利用の促進(45種) | 合成抗菌剤 (☆) (5種) |
アンプロリウム・エトパベート、アンプロリウム・エトパベート・スルファキノキサリン、クエン酸モランテル、ナイカルバジン、ハロフジノンポリスチレンスルホン酸カルシウム |
抗生物質 (☆★) (11種) |
亜鉛バシトラシン、アビラマイシン、エンラマイシン、サリノマイシンナトリウム、センデュラマイシンナトリウム、ナラシン、ノシヘプタイド、ビコザマイシン、フラボフォスフォリポール、モネンシンナトリウム、ラサロシドナトリウム | |
着香料(1種) | 着香料(エステル類、エーテル類、ケトン類、脂肪酸類、脂肪族高級アルコール類、脂肪族高級アルデヒド類、脂肪族高級炭化水素類、テルペン系炭化水素類、フェノールエーテル類、フェノール類、芳香族アルコール類、芳香族アルデヒド類及びラクトン類のうち、1種又は2種以上を有効成分として含有し、着香の目的で使用されるものをいう。) | |
呈味料(1種) | サッカリンナトリウム | |
酵素(12種) | アミラーゼ、アルカリ性プロテアーゼ、キシラナーゼ、キシラナーゼ・ペクチナーゼ複合酵素、β-グルカナーゼ、酸性プロテアーゼ、セルラーゼ、セルラーゼ・プロテアーゼ・ペクチナーゼ複合酵素、中性プロテアーゼ、フィターゼ、ラクターゼ、リパーゼ | |
生菌剤(11種) | エンテロコッカス フェカーリス、エンテロコッカス フェシウム、クロストリジウム ブチリカム、バチルス コアグランス、バチルス サブチルス、バチルス セレウス、バチルス バディウス、ビフィドバクテリウム サーモフィラム、ビフィドバクテリウム シュードロンガム、ラクトバチルス アシドフィルス、ラクトバチルス サリバリウス | |
その他(4種) | ギ酸カルシウム、グルコン酸ナトリウム、二ギ酸カリウム、フマル酸 | |
(合計 155種) |
堆肥化処理においては、家畜排せつ物中の雑草の種子を死滅させるため、発酵熱が60℃以上、数日間続くような処理を行うことが必要です。この処理を実施していない堆肥を放牧地に散布すると、放牧地においてギシギシ等の強害雑草が繁茂するという問題が生じます。従って、できるだけ堆肥の完熟化を行うことが望ましいのですが、現状の経営体では一部実施が困難なところもあることから、基準では努力目標としています。今後、努力目標ではなく必須要件にすることを検討していきます。
処理した家畜ふん尿のほ場への散布は、小河川への直接流入や地下浸透による水質汚染の防止に留意する必要があります。
環境負荷とその対策は、条件により違いますが、次のような点に配慮しなければなりません。
① 草地への施肥に当たっては、地域の施肥基準を順守し、堆肥・スラリーの施用量と施用時期に留意する。集中的なスラリー散布は望ましくなく、裸地への秋の遅い時期の散布もひかえる。
② 傾斜地や河川の近くでのふん尿散布や施肥をひかえる、緩衝地帯を設置するなど、草地の傾斜や周辺河川などの立地条件に配慮する。
なお、スラリー等の河川への流入を防止するためには、いくつかの試験データにより、ほ場の散布場所と河川の間には幅10 m以上の緩衝地帯の設置が望まれます。
ポジティブリスト制度は、食品中に残留する農薬、飼料添加物及び動物用医薬品(農薬等)について、一定の量を越えて農薬等が残留する食品の販売等を原則禁止する制度で、食品衛生法の改正により平成18年から施行されています。なお、基準値が設定されていない場合には「人の健康を損なうおそれのない量として一律基準(0.01ppm)」が適用されます。
本制度の導入に合わせ畜産物と飼料の安全を確保するため、飼料に含まれる農薬の残留基準値が省令で定められるとともに、稲わら、籾米及び稲発酵粗飼料等については、管理基準が定められています。飼料生産については、農薬取締法で定める農薬ごとの適用作物、使用時期、使用回数を順守すれば、原則的にポジティブリスト制度は順守できます。なお、農産物の生産と同様に、近隣ほ場からの農薬飛散(ドリフト)のリスク等に対し常に注意する必要があります。
獣医師や関係機関に問い合わせれば確認できます。また、農林水産省 動物医薬品検査所の動物用医薬品データベース(ホームページ)にアクセスして確認することができます。
なお、承認されている動物用医薬品の容器には、製造販売業者の氏名又は名称、及び住所等を記載することが義務付けられています。
放牧により適度に運動させることは、家畜の健康を維持し、繁殖性が向上するといったメリットが知られています。放牧経験がない舎飼牛を放牧馴致しないで放牧すると、放牧開始時期に大きな環境の変化(気象、地形、施設、飼料等の変化)によるストレスを受けますが、そのような家畜についても適切な放牧馴致により、問題解決することができ、適切な放牧はアニマルウエルフェアの向上につながります。
獣医師や関係機関に問い合わせれば確認できます。
また、農林水産省 動物医薬品検査所の動物用医薬品データベース(ホームページ)にアクセスして確認することができます。前述(問2-28)の繁殖用ホルモン剤と同様です。
従来、牛白血病といわれた病名は、牛伝染性リンパ腫と名称変更されました。牛伝染性リンパ腫は、汚染された注射針の使用、感染牛の分娩時の出血、アブ等の吸血昆虫等血液を介して伝搬します。対策としては①飼養牛の検査をして、感染牛、非感染牛を把握する。②日頃の飼養管理において伝染を防ぐ手段(吸血昆虫の牛舎内侵入防止を含む)を徹底する。③舎飼時にも分離飼育する。④放牧時にも分離放牧する。さらに⑤吸血昆虫(アブ、ハエ)対策を行います。
アブなどの吸血昆虫による伝搬を防ぐためには、これらの昆虫を全く零にすれば良いのですがこれは不可能ですので、これらの吸血昆虫の生息密度を低減させることが重要です。
放牧地において、アブなどの吸血昆虫の生息密度を低減させるのにアブトラップは非常に有効です。放牧地においてアブトラップを設置する場合、設置する場所は風通しと見晴らしの良い高台に置く、アブトラップの設置は一牧場だけでなく地域全体の放牧地に同時に設置する等に注意すれば大きな効果が得られます。
近年、牛伝染性リンパ腫は我が国での発生が増加しており、生産現場での被害も増加傾向にあります。本病に対するワクチンや治療法はないので、「牛白血病に関する衛生対策ガイドライン」等を参考に、感染牛と非感染牛が接触しない様に一定の距離を保って隔離飼養するなどウィルスの伝播を防ぐことが有効な防疫手段となります。
要指示医薬品に指定されていない駆虫剤や忌避剤の場合、獣医師の指示がなくても、用法・用量、使用上の注意及び使用基準を順守して使用することができます。
先の問では、ポジティブリスト制度について、農薬の飼料中への残留を問題としましたが、より直接的には、家畜に使用した飼料添加物及び動物用医薬品の食品中への移行や残留にも注意が必要です。牛用に承認されている医薬品で、それまで規制がなかったもの(消毒剤や胃腸薬等)についても、ポジティブリスト制度では規制の対象となります。残留基準の定めがあるものはそれに従い、基準の定めがないものについては一律基準(0.01ppm)が適用されます。動物用医薬品の使用上の注意、使用基準を順守するとともに、使用禁止期間と休薬期間、生産物の出荷可能日は必ず確認することが必要です。
なお、問題が発生した時に、動物医薬品等の使用記録は重要な資料となりますので、使用記録は必ず保管しておくことが必要です。
家畜の飼養管理と生産物を出荷するまでの管理(処理、加工がある場合はそれを含む)について、保管が必要な記録と証拠書類には、作業記録簿(作業日誌)、経理管理上必要とされる帳簿、飼料その他の生産資材等の購入伝票・領収書等が含まれます。
ここでは特に指定していません。各経営においてすでに採用している記帳様式やシステムを利用するものとし、補足が必要な事項については別途補足して対応することとします。 例えば、酪農経営に関しては、(一社)中央酪農会議から酪農家に配布されている「生乳生産管理チェックシート」がありますし、最近では、様々な経営管理ソフトが利用できますので、これらのデジタルツールを活用することもできます。
帳簿等の保管期間については、「飼料及び飼料添加物の成分規格等に関する省令」に定められている飼料及び飼料添加物の使用に関する帳簿の保管期間、「動物用医薬品及び医薬品の使用の規制に関する省令」に定められている動物用医薬品の使用に関する帳簿の取扱いを考慮して設定いたしました。
すなわち、飼料等の使用を記帳した帳簿の保存については、牛は8年間保存することが望ましいと定められています。また、動物用医薬品の使用を記帳する帳簿の保管期間については特に規定はありませんが、獣医師の診療簿をこの帳簿として利用する場合がありますので、この診療簿自体の保存期間を参考にしたところ、牛は8年間と定められています。
この基準は、放牧畜産実践牧場(酪農経営)から生産される生乳を原材料とする牛乳について、その認証表示を目的として策定しています。
1. 定義放牧できない期間(冬期)についても、生産される生乳を「放牧酪農牛乳」と表示することができます。年間を通じて放牧できれば良いのですが、実際は、牧草が少ない時期に放牧すると、十分な栄養摂取ができないばかりか、かえって草地へのダメージが大きく、草地の持続的利用という観点でもマイナスです。また積雪時には、屋外で運動はできても、生の牧草を採食することができません。当然ですが、乳成分も季節によって変化します。放牧酪農牛乳は、放牧畜産実践牧場における放牧の取り組みを評価した生産基準であると考えています。
当該認証制度は、多くの長所を持つ放牧を普及することにあります。放牧期間だけの牛乳を「放牧酪農牛乳」として販売することは、それが季節限定商品となることから、その製造も季節限定となり、そのためのコスト増から、直ちに普及が図られるとは限りません。従って、放牧の普及を図る観点から、放牧を行っている酪農家(放牧畜産実践牧場)から生産される牛乳を年間通じて「放牧酪農牛乳」として認証することとしています。いわば「放牧」をしている酪農家が生産した牛乳と理解してください。なお、放牧期間中に限定した牛乳は、「放牧牛乳」として認証、表示することとしています。
本基準で定める放牧酪農牛乳は、その製造過程において、通常の牛乳との特別な違いはありません。ただ、通常の生乳と混ざらないように分別集乳、分別処理が求められます。また、通常の牛乳生産と同じように、食品衛生法、乳等省令等の関係法令を全て順守して、衛生管理と品質管理には十分配慮することが必要です。
実際に「放牧酪農牛乳」と表示するのは、放牧酪農牛乳生産基準の認証を受けて牛乳を製造、販売しようとする者で、具体的には次のような個人又は組織が想定されます。
①
放牧畜産実践牧場のうち、自家プラントや共同プラント等を利用して、自ら「放牧酪農牛乳」を製造し、販売しようとする個人(個人工房)。
②
複数の放牧畜産実践牧場が、共同で「放牧酪農牛乳」を製造し、販売しようとする場合や比較的小規模な乳業会社等。
③
複数の放牧畜産実践牧場から生産された生乳を分別集乳し、これを原材料として「放牧酪農牛乳」を製造し、販売しようとする乳業会社。
いずれの場合も、「放牧酪農牛乳」と表示しようとする者は、その表示に対して責任を持たなければなりませんので、乳等省令等の関連法令に従うとともに、当認証手続きを経ることが必要となります。
当該認証制度の趣旨は、機能性成分が含まれている等放牧畜産の有利性が消費者から支持され、それが放牧畜産の普及推進につながることを期待するということです。従って、認証表示の対象は、放牧畜産実践牧場から生産される生産物に限定されるべきであり、そのことが分別管理を必要とする理由です。
放牧できない冬期間に、放牧畜産実践牧場から生産される生乳を分別集乳、分別処理せずに、一般の舎飼い牛より生産された生乳と一緒に集乳、処理した場合、一般の牛乳としては販売できますが、放牧畜産実践牧場以外の生乳も混入していることから、これを放牧酪農牛乳として表示し、販売することはできません。放牧酪農牛乳として表示、販売するためには、冬期間においても分別集乳、分別処理が必要です。
改善計画書の提出が求められていることに関係なく、基準が満たされていないことが明らかになった時点で、自主的に放牧酪農牛乳としての出荷又は表示は速やかに止めなければなりません。改善計画書が求められている段階では、生産基準を満たさない状況が継続しているわけですから、ただちに放牧酪農牛乳としての表示、出荷は止めなければなりません。
原則的には分別貯蔵することが望ましいのですが、貯蔵タンクを2台所有する酪農家は少ないのが実態です。また、放牧酪農の現場において、放牧期にやむを得ない理由により舎飼いとなっている搾乳牛は、多く見積もっても常時全飼養頭数の5%以上存在することは稀です。このようなことから舎飼いで飼養されている搾乳牛が全飼養頭数のおおむね5%以内であれば、そこで生産される牛乳は放牧牛乳として扱うことができるものとします。
この基準は、放牧畜産実践牧場から生産される生乳を原材料とする乳製品について、その認証表示を目的として策定しています。
なお、放牧酪農牛乳と同様に、放牧酪農乳製品についても、放牧できない期間(冬期)に生産される牛乳を原材料とするものを「放牧酪農乳製品」として表示し、販売することを認めています。放牧畜産実践牧場の放牧の取り組みを評価したいと考えています。
一般に乳製品は多くの原材料と加工補助剤、添加剤等が使用され、多種多様な製品が生産されていますが、ここでは乳等省令で示されている乳製品のうち、放牧畜産実践牧場で生産される生乳がそのまま利用され、それ以外の原材料と混合する必要性と可能性が小さい品目として、チーズ、バター、ヨーグルト、アイスクリーム及び原材料中の牛乳の割合が70%以上となる「その他の放牧酪農乳製品」に分類することとしました。
これらの原材料のうち生乳に関しては、100%放牧酪農牛乳を使用することを求めています。
本基準で定める放牧酪農乳製品(チーズ、バター、ヨーグルト、アイスクリーム、及びその他の放牧酪農乳製品)は、その製造過程において、通常の乳製品と特別な違いはありません。ただし、放牧酪農牛乳と同様に通常の生乳と混ざらないように分別集乳、分別処理が求められます。この分別集乳、分別処理は問3-7と同様の趣旨で、冬期間も実施することが必要です。また、通常の乳製品生産と同じように、食品衛生法、乳等省令等の関係法令を全て順守して、衛生管理と品質管理には十分配慮することが必要です。
放牧酪農牛乳の特徴をアイスクリームに反映するためには、アイスクリーム原料中の牛乳割合は、アイスクリーム成分規格である「乳脂肪分8.0%以上、乳固形分15.0%以上」を満たした上で、最大限の牛乳割合とすべきです。
アイスクリーム中の牛乳割合の試算及び牧場で自らアイスクリームを製造販売している事例を参考に、アイスクリーム原材料中の牛乳割合が70%以上のものを放牧酪農アイスクリームとすることにします。
従って、原料乳中の牛乳割合が70%未満のものは、牛乳の100%が放牧酪農牛乳であっても放牧酪農アイスクリームとは呼べないこととなり、放牧酪農乳製品の認証を取得することはできません。このことは、その他の放牧酪農乳製品も同じです。
実際に「放牧酪農チーズ」、「放牧酪農バター」、「放牧酪農ヨーグルト」、「放牧酪農アイスクリーム」及び「その他の放牧酪農乳製品」と表示するのは、放牧酪農乳製品生産基準の認証を受けて各乳製品を製造、販売しようとする者で、具体的に次のような個人又は組織が想定されます。
①
放牧畜産実践牧場のうち、自家プラントや共同プラント等を利用して生乳を処理し、自ら放牧酪農乳製品を製造、販売しようとする個人。
②
複数の放牧畜産実践牧場が、共同で放牧酪農乳製品を製造、販売しようとする場合や比較的小規模な乳業会社等。
③
複数の放牧畜産実践牧場から生産された生乳を分別集乳し、これを原材料として放牧酪農乳製品を製造、販売しようとする乳業会社。
いずれの場合にも、放牧酪農乳製品であることを表示しようとする者は、その表示に対して責任を持たなければなりませんので、乳等省令等の関連法令に従うとともに、当認証手続きを経ることが必要となります。
この基準は、放牧畜産実践牧場(酪農経営)から生産される生乳のうち、放牧期間中の乳牛から生産された生乳を原材料とする牛乳について、その認証表示を目的として策定しています。
1. 定義「放牧牛乳」は、放牧期間中(放牧開始10日後から終牧まで)の乳牛から生産された生乳を原材料とする牛乳です。当然ですが、地域によって季節限定的な供給となります。
これに対して「放牧酪農牛乳」は、放牧畜産実践牧場の年間を通じた取り組みを評価するため、放牧できない期間(冬期)に生産される生乳についても「放牧酪農牛乳」の表示を認めています。これが、一番の違いとなっています。
十分な放牧草を乳牛に摂取させることにより、放牧酪農で生産される生乳には「ビタミンEとβ-カロテンが多い」、「機能性脂肪酸であるCLA(共役リノール酸)が多い」等といった特徴があります。ただし、放牧酪農に特徴的なこれらの成分含量は、放牧開始直後から高いわけではなく、ある程度の日数をかけて漸増し、放牧終了後も若干の期間は高い値を示すという試験結果が得られています。つまり、実際の放牧期間とこれらの成分含量の増加との間には時間的な遅れが生じます。そこで本基準では、その時間差を考慮して、「放牧牛乳」と表示できる生乳の生産期間を、「放牧を開始して10日後から終了日まで」と設定しています。
「放牧牛乳」と表示するのは、放牧牛乳生産基準の認証を受けて牛乳を製造、販売しようとする者で、具体的に次のような個人又は組織が想定されます。
①
放牧畜産実践牧場のうち、自家プラントや共同プラント等を利用して、自ら「放牧牛乳」を製造、販売しようとする個人(個人工房)。
②
複数の放牧畜産実践牧場が、共同で「放牧牛乳」を製造、販売しようとする場合や比較的小規模な乳業会社等。
③
複数の放牧畜産実践牧場から生産される放牧期間中の生乳を分別集乳し、これを原材料として「放牧牛乳」を製造、販売しようとする乳業会社。
いずれの場合も、「放牧牛乳」と表示しようとする者は、その表示に対して責任を持たなければなりませんので、乳等省令等の関連法令に従うとともに、当認証手続きを経ることが必要となります。
この基準は、放牧畜産実践牧場(酪農経営)から生産される生乳のうち、放牧期間中(放牧開始10日後から終了日まで)の乳牛から生産された生乳を原材料とする乳製品について、その認証表示を目的として策定しています。
1. 定義牛乳の場合と同様に、「放牧乳製品」は、放牧期間中の乳牛から生産された生乳を原材料とする乳製品です。これに対して「放牧酪農乳製品」は、放牧畜産実践牧場の年間を通じた取り組みを評価するため、放牧できない期間(冬期)に生産される生乳についても認めています。これが、一番の違いとなっています。
なお、「放牧乳製品」と表示できる生乳(原材料)の生産期間は、本基準においては「放牧を開始して10日後から終了日まで」と設定しています。
問4-2の回答に同じ
放牧牛乳の特徴をアイスクリームに反映するためには、アイスクリーム原料中の牛乳割合は、アイスクリーム成分規格である「乳脂肪分8.0%以上、乳固形分15.0%以上」を満たした上で、最大限の牛乳割合とすべきです。
アイスクリーム中の牛乳割合の試算及び牧場で自らアイスクリームを製造販売している事例を参考に、アイスクリーム原材料中の牛乳割合が70%以上のものを放牧アイスクリームとすることにします。
従って、原料乳中の牛乳割合が70%未満のものは、牛乳の100%が放牧牛乳であっても放牧アイスクリームとは呼べないこととなり、放牧乳製品の認証を取得することはできません。このことは、他の放牧乳製品も同じです。
実際に「放牧チーズ」、「放牧バター」、「放牧ヨーグルト」、「放牧アイスクリーム」及び「その他の放牧乳製品」と表示するのは、放牧乳製品生産基準の認証を受けて各乳製品を製造し、販売しようとする者で、具体的に次のような個人又は組織が想定されます。
①
放牧畜産実践牧場のうち、自家プラントや共同プラント等を利用して生乳処理し、自ら放牧乳製品を製造、販売しようとする個人(個人工房)。
②
複数の放牧畜産実践牧場が、共同で放牧乳製品を製造、販売しようとする場合や比較的小規模な乳業会社等。
③
複数の放牧畜産実践牧場から生産された放牧期間中の生乳を分別集乳し、これを原材料として放牧乳製品を製造、販売しようとする乳業会社。
いずれの場合にも、放牧乳製品であることを表示しようとする者は、その表示に対して責任を持たなければなりませんので、乳等省令等の関連法令に従うとともに、当認証手続きを経ることが必要となります。
この基準は、放牧畜産実践牧場において生産される子牛のうち、繁殖用又は肉用として育成される子牛について、その認証表示を目的として策定しています。
1. 定義当該公共牧場が放牧畜産実践牧場の認証を受けており、当該子牛が放牧畜産基準を満たした飼養管理がなされていれば放牧子牛として認証されます。また、放牧畜産実践牧場の認証を受けていない公共牧場において生産された子牛であっても、放牧畜産基準の3~10を順守して生産された子牛であることが証明され、かつ、出荷月齢までに、3か月以上の放牧を行ったことが証明されれば、放牧子牛として認証の対象となります。
放牧畜産基準を満たすことが放牧畜産実践牧場として認証される条件であり、酪農経営と肉用牛(繁殖)経営で認証基準が異なっている訳ではありません。従って、酪農経営の放牧畜産実践牧場で生産される乳雄子牛等であっても、出荷月齢時までに3か月以上の放牧が行われたことが明らかであれば放牧子牛として認証対象となります。また、放牧肥育牛生産基準を満たすのであれば放牧肥育牛として認証対象となります。
放牧子牛生産基準では、認証要件として、生後から出荷月齢までに3か月以上の放牧を行うことを条件としています。その3か月以外は舎内飼育をしても放牧子牛として認められます。
2. 放牧育成放牧できる時期は、可能な限り放牧することが基本です。しかし、放牧地の自然条件と子牛の生まれる時期により、実際に子牛を放牧できる期間にはかなりの違いが生じます。
たとえば東北地方の日本短角種の場合、放牧シーズンは夏期(だいたい5月中旬~10月下旬)に限られます。出荷月齢を8~10か月とすると、6月ないし7月に生まれた子牛が翌年春に出荷される場合、放牧期間は最短で3~4か月に限られます。本基準は、このような最短のケースを想定して、「少なくとも3か月以上放牧する」としています。
牛トレーサビリティ法に基づく牛個体識別情報は、(独)家畜改良センターが管理するインターネットホームページを通じて、誰でも確認できるシステムが確立しています。
それ以外の情報について、要求があれば開示する情報として、本基準では○子牛の放牧形態と放牧期間、○給与飼料、○衛生関連履歴(ワクチン・駆虫薬投与年月日、治療年月日、治療に使用した動物用医薬品及び抗菌性物質の名称等)、等を定めています。これらの情報について公表方法は特に定めていませんが、放牧子牛の出荷先ないし譲渡先へは確実に伝達する必要があります。
「放牧子牛」は、放牧畜産実践牧場において、放牧子牛生産基準に従って生産された子牛に対して表示できます。放牧子牛生産基準認証申請を行って認証を受け、「放牧子牛」として表示できるのは放牧畜産実践牧場です。
また、公共牧場等、放牧畜産実践牧場以外で生産された子牛であっても、放牧畜産基準に従って生産されたことが証明されれば「放牧子牛」と認証し、この牛が放牧畜産実践牧場において放牧肥育牛生産基準に従って肥育された場合、放牧肥育牛としての表示ができます。この場合、表示するのは当該認証の申請を行った牧場になります。
この基準は、放牧畜産実践牧場において生産され、放牧子牛生産基準に従って生産された放牧子牛を肥育し、その肉牛を「放牧肥育牛」と認証表示することを目的として策定しています。
1. 定義肥育経営が導入する子牛(肥育素牛)を、認証された放牧畜産実践牧場から全て導入して充足できるとは限りません。例えば、放牧畜産基準の生産方式を満たしている公共牧場から導入する場合も考えられます。
従って、放牧子牛生産基準の要件を実質的に満たしている子牛については、放牧子牛の認証の有無にかかわらず、放牧肥育牛の素牛として導入することを認めるものとします。ただし、この場合も導入した子牛が放牧子牛生産基準の要件を実質的に満たしていることを証明する必要があります。
当協会が当該牧場からの申請に基づき、当該牧場及び子牛の生産牧場における対象子牛の来歴、飼養管理状況について書類等による裏付け確認を行い、放牧子牛生産基準に従っていることを確認します。なお、協会への申請の際には、申請書とともに証明に関わる関連書類の提出を求めます。
2. 肥育放牧畜産基準の趣旨には、その一つとして、自給粗飼料を積極的に活用するということがあります。このため、給与粗飼料の1/2以上(乾物ベース)は経営内または地域内で生産されたものとします。
放牧は資源循環型畜産の典型であり、放牧の普及を図るため放牧畜産基準を策定しましたが、残念ながら我が国においては放牧肥育の実践例は極めて稀です。このため、肥育においても資源循環型畜産を実現するため、地域内や経営内で生産された自給飼料を利用するようにし、本基準では、肥育期間であっても、粗飼料をできるだけ多給することを求めています。
ちなみに日本飼養標準(肉用牛・2008年版)では、粗飼料多給肥育について「粗飼料からのTDN給与割合は前期に35%以上、後期に20%以下にすることが肥育牛の増体効率上、合理的である。」(p.70)としています。
また、粗飼料多給に関する肥育試験の事例をみると、黒毛和種の場合でも、肥育前期は粗飼料給与割合が30%を超え、中期・後期では30%以下という試験が数多く見られます。
このような試験成績を踏まえ、肥育全期間を通じた粗飼料給与率として「30%以上」とすることは妥当な基準であると言えます。
給与粗飼料の1/2以上が経営内又は地域内で生産されたことの確認は、給与した総粗飼料量から経営内又は地域内以外から購入した粗飼料量を差し引くことによって、経営内又は地域内で生産された粗飼料量を把握できます。また、肥育は肥育ステージごとに飼料設計を行い、その飼料設計に基づき飼料が給与されますので、飼料設計から肥育牛ごとの粗飼料給与率が計算できます。
放牧肥育牛生産基準を満たした肥育牛は認証の対象となりますが、同一経営内においてこれらと一緒に飼養されていても放牧肥育生産基準を満たさない条件で管理された牛については、認証の対象とはなりません。
5. 表示肥育経営者が、家畜商、と畜業者、食肉加工業者、卸業者、小売業者等へ販売する際に表示します。ただし、相対売買では必ずしも表示の必要はありませんが、トラブルを避けるためにも「放牧肥育牛生産基準」の認証を受けていることを確認し、問8-9に示すような情報を譲渡する相手方に的確に伝達しなければなりません。なお、当然のことながら、子牛の認証から肥育牛の出荷まで放牧畜産基準に則して飼養管理された牛を販売する放牧畜産実践牧場においては、当該牧場が「放牧肥育牛」と表示します。
6. 情報開示牛トレーサビリティ法に基づく牛個体識別情報は、(独)家畜改良センターが管理するインターネットホームページを通じて、誰でも確認できるシステムが確立しています。
本基準では、それらに加えて要求があれば開示する情報として、○管理者(当該の肉用牛肥育経営)の氏名又は名称、○導入した子牛(肥育素牛)に関する情報、○肥育期間(導入・肥育開始の年月日、肥育終了・出荷の年月日)、○肥育期間中の給与飼料(粗飼料、配合飼料の名称、給与量)、○肥育期間中の衛生関連履歴(ワクチン・駆虫薬投与年月日、治療年月日、治療に使用した動物用医薬品及び抗菌性物質の名称等)、等を定めています。これらの情報の公表方法は特に定めていませんが、「放牧牛肉」として最終消費者にも伝達される必要があることから、少なくとも放牧肥育牛の出荷先ないし譲渡先への正確な情報伝達は必要です。
この基準は、放牧肥育牛をと畜し、処理・加工等を経て生産される牛肉を「放牧牛肉」として認証表示することを目的としています。
1. 定義本基準においては、「牛の個体識別のための情報の管理及び伝達に関する特別措置法」(通称「牛肉トレーサビリティー法」)において「特定牛肉」と定義される牛肉を対象とします。具体的には、牛個体識別台帳に記録されている牛から得られた食用に供される肉で、と畜場、食肉処理場での「枝肉」、「部分肉」、小売段階での「牛ロース」、「スライス肉」等の精肉が該当します。
以下のものは対象とはなりません。
① 牛肉を原料又は材料として製造し、加工し、又は調理したもの
② 牛肉を肉ひき機でひいたもの
③ 牛肉の整形に伴い副次的に得られたもの(小間切れ、切落とし肉等)
ただし、他牧場生産牛の肉が混じることのない自家施設で処理される場合で、かつ、と殺後の食肉処理過程において、放牧肥育牛ではない他の牛肉が混じることのない分別管理がなされ、処理過程が追跡できる条件であれば、特例として上記①、②、③を認証表示の対象として認めます。
①の製品のうち、ローストビーフ、ビーフジャーキー等食肉加工品については、以上の条件に加えて製造過程で必要な香辛料や調味料は最小限とすることが求められます。
また、ハンバーグステーキ等、肉以外の副原料を多く含む調理品は、放牧牛肉としての認証対象にはなりません。
この基準は、放牧肥育牛のと場搬入から最終消費者に牛肉として販売されるまでの、と畜、部分肉製造・卸売、小売等の全ての段階に関わる事業者に適用され、各事業者は「放牧牛肉」とその他の牛肉とを分別して取扱わなければなりません。
「放牧牛肉」として販売しようとする者が認証手続きを行い、「放牧牛肉」と表示します。具体的には、次のような個人又は組織が想定され、いずれの場合もその表示に対して責任を持たなければなりません。
①
個別の放牧畜産実践牧場又は肥育経営又は一貫経営で、自ら「放牧牛肉」と表示して販売しようとする個人。
②
複数の上記肉用牛経営等によって構成する生産者組織で、自ら「放牧牛肉」と表示して販売しようとする組織。
③
食肉加工業者、食肉卸業者又は小売業者等で、「放牧牛肉」と表示して包装し、販売しようとする個人又は組織。ちなみに、これらの事業者は、生産情報公表JAS規格(牛肉)における「小分け業者」に該当します。
牛トレーサビリティ法に基づく牛個体識別情報は、(独)家畜改良センターが管理するインターネットホームページを通じて、誰でも確認できるシステムが確立しています。
上記以外の情報については、その公表方法を特に定めていませんが、最終消費者に対して、肉用牛の生産、放牧、飼養管理から牛肉として販売されまでの過程について説明できなければなりません。「放牧牛肉」と表示して販売する者は、それらの生産情報を確実に受け継ぎ、消費者に伝達できることが必要です。
放牧畜産基準認証制度は放牧を取り入れた畜産の展開を促進し、消費者の放牧畜産物に対する理解を醸成するため、放牧畜産を実践する牧場及び放牧畜産によって生産される家畜や畜産物に対する認証を行うために設けた制度です。この要領は、認証制度を円滑に運用するため、必要な規定を定めたものです。
「協会が指定する団体」とは、(一社)日本草地畜産種子協会の会員のうち都道府県又は粗飼料の生産、流通利用に関する都道府県の団体です。各道府県によって名称は多少異なりますが、○○県、○○県草地協会、○○県畜産協会、○○県草地飼料協会等の団体です。
認証申請料は別途規定しますのでご覧ください。ちなみに、申請料は、各基準認証とも一律10,000円(税別)です。複数の認証申請を同時に行う場合に限り、2件目以上は1件当たり5,000円(税別)としています。この申請料は、3年の認証期間満了後に継続認証受ける場合にも納付していただきます。申請料は申請書提出時に(一社)日本草地畜産種子協会あてに直接振込んでいただくことになります。なお、申請料は審査結果に関わらず、返還されません。
放牧畜産基準認証要領に基づいて行われます。即ち、認証を希望する牧場(事業所)代表者が、(一社)日本草地畜産種子協会会長あてに各認証基準に対応した認証申請書を提出します。協会では、申請書及び関係書類を審査するとともに必要に応じ現地調査を行い、基準を満たしているか否かを判断し、その結果を会長名で申請者に通知いたします。その際、認証書も交付します。なお、現地調査が必要な場合は、調査に要する経費(旅費等)について別途請求することがあります。
3年間の認証期間を超えて、更に認証を継続する場合も、基本的に一度受けた認証番号は変わりません。
ただし、認証の中断があった場合には、再認証時に新たな認証番号となることがあります。
事故等予測不能の事態により認証基準を満たすことが困難になった場合を除き、年間を通した平均値で基準に到達しない項目があった場合、あるいは実施されない項目が長期間継続した場合に認証基準を満たせないと判断します。
認証者の義務としては、認証基準に則った家畜の飼養管理、畜産物の生産がありますが、それら基準が満たされない場合は、改善計画書の提出が求められます。改善計画書の提出が遅延したり、提出を拒否した場合及び改善計画書に記載された事項の改善がなされない場合には認証が取り消されます。認証が取り消された者は、取り消された日から3年間は認証の再申請ができません。また、認証が取り消されたことは協会ホームページ上で事業所名、代表者名とともに公表されます。
同一経営内でも、牧場(事業所)が分散している場合、それぞれ条件が違う場面が想定されます。申請に対して認証を受けた生産方式を行う施設に掲示していただきたいと考えますが、PR効果を考えると、人の集まる場所(例えば、認証を受けた山の牧場より、里にある事務所)に掲示するほうが良いともいえます。この場合は、認証申請の際に、認証を受けた牧場(事業所)以外に掲示する理由と場所を申請書に記載していただくことになります。
代表者が変わっただけで、旧認証の申請内容が変わっていなければ、その旨を申告していただき添付書類を提出する必要はありません。ただし、申請内容が変わればこの限りではありません。
認証マーク使用許諾申請書<別記>の中に、モノクロ以外の単色を使用する場合の記入欄がありますので、そこに記入していただきます。協会では、その申請を受けて単色使用が認証マークの趣旨を損なうものでないことを審査し、問題がない場合は使用が可能となります。そのことは申請者に通知されます。
申請の内容が変更になった場合は、速やかに変更申請をしていただきます。届けは、変更箇所を明示した理由書(書式は特に指定しない)とともに使用許諾申請書<別記>を再提出していただきます。また、変更に伴い旧許諾証は無効となりますので協会に返却していただきます。
放牧畜産実践牧場以外の者でマークの使用を申請する者としては、放牧肥育牛生産基準認証を受けた者、放牧酪農又は放牧牛乳・乳製品の製造加工・販売業者、放牧牛肉の処理・加工・販売業者等が該当します。認証マークの申請に当たり、特に留意すべき点は、放牧肥育牛については、導入する子牛は放牧子牛又はそれに準じるものであること、放牧牛肉については、放牧子牛及び放牧肥育牛の認証を受けていること、牛乳、乳製品については使用する原料乳が放牧畜産実践牧場由来であること、を明らかにしておくことなどです。また、生産物については分別処理がなされていることを確認するとともに必要な生産情報の確実な入手とその情報開示ができるようにしておくことも必要です。
国、地方公共団体又は協会会長が適当と認める団体が、認証マークの普及活動のために使用する場合には使用許諾手続きは必要ありません。ただし、この場合でも事前に協会会長あてにマークを使用する旨の申請をしていただく必要があります。
マークが印刷されたステッカーのようなものになると思いますが、車両への貼り付けは可能です。放牧畜産を広くPRすることにもなります。この場合でも、事前に協会会長の承認が必要です。
放牧畜産基準を満たした放牧畜産実践牧場が「放牧畜産実践牧場」の認証マークを使用される場合は、使用許諾を受けるだけで使用料は無料ですが、その他の7つの生産基準に対応する認証マークを使用する場合には、使用許諾を受けるとともにその使用料を支払っていただきます。
金額については、生産物ごとに別途定めますが、マーク1件(枚)当たりの単価をもとに、年間使用実績に従って使用料を支払っていただくことになります。
改善計画書の提出が求められ、改善が確認されるまでの間は、「放牧酪農牛乳」あるいは「放牧牛乳」の原料乳として生乳を出荷することはできません。ただし、「放牧酪農牛乳」、「放牧牛乳」として表示しない牛乳の原料乳としては出荷は可能です。
認証マークの色等の詳細については、「放牧畜産基準認証マーク使用マニュアル」に記載されています。このマニュアルは、使用許諾を受けた者に対して当協会から送付しますが、その際、印刷に必要なデータファイル(色指定ファイル、EPSファイル等)もCD-ROMで配布します。
図柄の縦横比率については、任意に変えることはできません。
また、図柄の拡大については制限はありませんが、縮小は横幅15mm以下で使用する場合、通常の印刷では文字が潰れ不明瞭になるため、協会に相談いただくことになっております。
「認証マーク使用マニュアル」において、単色の場合でも図柄の彩色部位には明度差をつけています。例えば、モノクロの場合、黒の比率が100%、50%、40%の3段階に規定されており、同一比率とはなっていません。従いまして、同じトーンで印刷することはできません。
認証マーク使用許諾要領では、使用者が勝手にマークを改変使用することは認めていません。ただし、マークの商標権所有者である協会が、放牧畜産の普及・啓発のため、ロゴタイプの変更が意義あると認めた場合には、変更使用が許可されることがあります。その場合、マークの商標権所有者である協会に変更したいロゴ等について使用許諾を受ける必要があります。