技術情報


  放牧酪農(マニュアル)

●放牧草地の管理

1.搾乳牛放牧に適した草種・品種
 頻繁な採食に対して再生力が強く、密度の高い草地を形成する、栄養価や嗜好性が高い、環境耐性や永続性があるなどが挙げられますが、搾乳牛の場合は栄養価が高いことが重要な特性となります。
北海道の東部以外の冷涼な地域ではペレニアルライグラスが推奨されています。
2.出穂性の異なる牧区の配置
 草種・品種によって出穂の早晩性には1か月以上の開きがあります。
出穂性の異なる品種を牧区別に配置することにより、輪換放牧や適期刈り取りがしやすくなり、労働が平準化されます。
3.放牧草地の施肥管理
 搾乳牛は放牧草以外に濃厚飼料やサイレージが給与されますが、摂取した窒素の約70%、リン酸については40~50%、加里では80%がふん尿として排泄されるといわれています。放牧強度によって施肥成分の還元量は異なりますが、過不足のない適正な施肥設計を行う必要があります。
放牧地の施肥は、生産性を平準化するために、春の施肥を控え夏~初秋に重点的に行うようにします。採草地には施肥反応の高い早春施肥が有利です。
牧草優良品種の出稿期(札幌)
草種 品種 早晩性 出穂期(札幌)
オーチャードグラス はるねみどり 早生 5月27日~5月31日
ハルジマン 中生 6月4日~6月8日
トヨミドリ 極晩生 6月8日~6月12日
チモシー クンプウ 極早生 6月3日~6月7日
ノサップ 早生 6月11日~6月15日
アッケシ 中生 6月17日~6月21日
キリタップ 中生 6月20日~6月24日
なつぴりか 中生 6月17日~6月20日
なつさかり 晩生 6月27日~6月30日
メドウフェスク ハルサカエ 中生 6月3日~6月7日
まきばさかえ 中生 6月3日~6月7日
ペレニアルライグラス チニタ 中生 6月4日~6月8日
フレンド 晩生 6月13日~6月17日
ポコロ 晩生 6月11日~6月16日
道東1号 極晩生 6月15日~6月21日
ケンタッキーブルーグラス ラトー 早生 5月下旬
トロイ 早生 5月下旬

草種 品種 早晩性 特性
ペレニアルライグラス ヤツカゼ2 中生 本州以南の高冷地、準高冷地
ヤツユメ 晩生 本州以南の高冷地、準高冷地
トールフェスク ウシブエ 中生 東北南部から九州
フェストロリウム 東北1号 中生 北東北の低標高地から関東東山地域の中標高地
バヒアグラス ナンオウ 中生 四国から九州の冬季温暖な地域