栽培概況 気象・生育・展示 |
・主食用米品種による飼料用稲の生産を主体とした地域において、サイレージの品質向上のため極短穂型茎葉品種を栽培展示した。(1)初期生育:苗は育苗期間の高温により一部でヤケが発生したが、病害はなく概ね順調に生育した。本田への活着後は、日照不足や低水温により分げつの進みが遅かった。(2)病害虫・雑草:病害虫による被害はなかった。雑草は、水はけのよい田で除草剤の効きが悪かったため、ヒエやオモダカ、ホタルイが発生した。8月1日、一時的に激しい雹が降り、茎葉が折れるなどの被害が発生した。程度は不明だが、減収に影響したと見られる。(3)生育期間中気づいた点:栽培地は高標高地(標高740m)のため登熟が十分進むか懸念されたが、収穫適期となる黄熟期に達することができた。穂長は、主食用米品種の半分程度と、品種の特徴通り短かった。同一株の中で、他の茎より20~30㎝程度長い茎が見られた。(4)収量性:基肥の窒素施用量が少なく、出穂前の雹もあったため、令和2年に行われた試験の収量(4,090kg/10a(乾物1,440kg/10a))より少なかった。しかし、県の飼料作物栽培基準の目標収量(2,500kg/10a(乾物1,200kg/10a))より多かった。堆肥を連用しているほ場で、地力が高かったためと推測される。(5)今後の使用の可能性や普及性:収量が多く倒伏しにくいため栽培しやすく、今後地域で使用する可能性がある。晩生品種のため、地域で作付される主食用米品種と作期を分散する選択肢にもなる。今後普及する際には、適切な施肥量や作型を把握するとともに、サイレージの品質を調査し高品質なサイレージが生産できるよう、栽培及び収穫の方法を確立することが課題となる。 |