栽培概況 気象・生育・展示 |
・展示ほ①「放牧地」約8ha、不耕起。展示ほ②「試験区」(放牧地近くの平坦地に柵で囲った試験区を設置)8.6㎡、播種前に手作業で10cm程度耕起。無施肥。収穫調査及び刈取日は未実施(放牧地での飼料作物生産のため刈り取りは行わない。)。播種日平成31年4月23日、5月16日。その後、移植するための苗作成のため随時。除草剤は不使用。収穫調査及び刈取日は未実施(放牧地での飼料作物生産のため刈り取りは行わない。)。展示ほ①放牧地。ア)1年目の放牧地では、裸地へのばら撒きによる播種と、苗の移植を行った。ばら撒きによる播種は、裸地やふん上に行ったが、1年目には裸地の回復に大きな効果は認められなかった(写真1)。苗のふん上移植は、育苗セルから抜取った土付きの苗を、放牧地に排せつされた牛のふん上に数株挿し(写真3,4)、踏みつけて行い、その後の定着状況を確認した。移植苗の保護効果があることが確認され(写真5,6)、ふん消失後に定着した苗を複数確認することができた(写真7,8)。イ)2年目、1年目に行った播種やふん上移植により、2年目には、放牧地入り口付近の裸地が解消された(写真2)。放牧地の一部で実施した苗の移植でもノシバの定着が確認され(写真9,10)、最も踏圧がかかる給水器周囲にもノシバの定着が確認された(写真11,12)。また、2年目の苗の移植は、ふんのない場所で通常どおりに土を掘って35cm×50cmのシート状に切出した苗を移植した(写真24)。小さなセル苗より発育の進んだ大きな苗の方が乾燥に強く定着が確実で、放牧地では大きな苗ほど定着しやすかった(写真13,14,15,16)。(2)展示ほ② 試験区 ア)1年目、試験区では、平成31年4月23日に播種したが5月中旬に発芽が見られなかったことから(写真17)、再度5月16日に播種を行い6月に発芽が確認された。雑草の抜取り作業は、ほぼ1カ月に一度行い、潅水は雑草の抜取り時に必要があれば行い、基本的には降雨のみとした。ノシバの被覆度は、8月に60%(写真18,20)となり、9月には85%程度(写真19,21)まで上がり、その後も被覆度が増し牧養力のある草地を形成した(写真22)。イ)2年目 雑草の進入やランナーの伸展による面積の拡大状況を調査した。ランナーの伸展によりノシバは試験区周囲を被覆し、その面積は約2倍に広がった(写真23)。また、試験区からは放牧地用の移植苗を35㎝×50cmのシート状に切り出し(写真24)、切出したままの状態や、ほぐしてセル苗やポット苗等の移植用の苗に仕立て、その後の移植に利用した。 (所感)展示ほを設置した山北町皆瀬川は標高が高く平均気温が低いため、春から初夏にかけては発芽まで1カ月以上の期間を要した。ばら撒きによる播種で放牧地に芝型草地を完成させるには長期間を要するが、苗を作成して移植を行う手間をかけることで、限られた面積ではあるが着実に被覆度増加は図られていくことが確認できた。
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