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私たちのふるさとは,畑作,稲作,果樹栽培,畜産などに従事している農家が多い地域です。このような環境に恵まれている郷土に根ざした「総合的な学習の時間」にすることをねらいました。具体的には,昨年度(平成12年度)3年生から6年生までの計画を立てたのですが,活動の内容を決めるにあたっては,子どもたちがどんなところに興味を持っているかを調べるためのアンケートを取りました。それから教員のアンケートも取りました。それらの内容を勘案してテーマを決定しました。そして,子どもたちが自ら学びながら解決していくという課題解決型にすることと,ふるさとにこだわって体験を通して学んでいくことに力点をおきました。4年生のテーマは,「みんな農業はかせ」です。 今回の体験学習事例のテーマ設定については,現在の4年生が昨年度3年生のときにやってみたいこととしてあげた課題,米を育てる,野菜を育てる,果物を育てるということから平沢の畜産業を調べることまであったのですが,本年度,子どもたちが取り組んだのは,野菜,米,果物という内容ではなかったのです。これは,3年生の社会科の学習内容に密接な関係があったと思われます。蔵王町は果樹栽培が盛んで,梨作りを中心に学習するのですが,その影響もあって果物を育てるという課題が出てきたと思われます。それが,4年生になってみると,20人のうち4人が牧場での畜産体験をやりたいということになりました。 |
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畜産体験には非常に興味を持って取り組んでいました。「酪農家の仕事」を課題にしたグループ4人のうちの1人は,朝5時に起きて村上牧場へ行き,1日の計画を立てたり,牧場に作業用の「マイ長靴」を置いたりして,夏休み中もほとんど毎日のように通っていました。「牛乳から作られる製品」を課題にしたグループの子どもたちも,市販のものと同じようにおいしいものを作りたいという期待を持って取り組みましたし,特に,バター作りなど,白いクリームが黄色い固まりになるというような変化するものに興味を持っていました。そして,作ったあとはとても満足していました。 このように,自分のやりたいことにこだわって行う学習は大切です。子どもたちは,体験中に限らず,自分の課題のまとめをする場面でも,とても生き生きとして取り組んでいました。 子どもたちをやる気にさせるきっかけ作りは,最初の体験です。子どもたちの関心,疑問,不思議に思うことを引き出すために,最初に何に出会わせるかが大切です。最初に何に出会ったかによって,その後の学習展開が全く違ったものになります。畜産体験を行った子どもたちは,はじめから畜産に興味を持っていたわけではないのですが,村上牧場へみんなで見学に行ったことで,触発されたのだと思います。 総合的な学習の時間では,子どもたちが課題を見つけて,その課題を解決していくプロセスを重視することを基本方針としていますが,とりわけ中学年では,いきなり課題を見つけさせるのは難しいのです。体を使ってやること,体で感じることの共通体験を中心にして,徐々に課題を見つけさせるほうが,子どもたちにとってもやりやすいと思います。総合的な学習の時間は,黒板とチョークを使ってやるには不向きな勉強ですね。 課題について調べていく場面では,いろいろな方面の方々に問い合わせをしたり,インターネットで調べたりしました。このような情報は,図書資料や印刷物で提供されるよりは,インターネットで提供されるほうが一度に複数の子どもたちが見ることができて有利です。ただ,現状のインターネットは,こういう方面の情報やデータが不足しています。また,子ども向けに発信されていないため,専門用語や語句の解読に時間がかかって大変でした。体験学習用に,子ども向けに情報発信してくれるホームページがあるといいですね。 |